理事会
平成28年度
活動計画

事業活動方針

我国は「障害者権利条約(以下、権利条約という)」を2014年1月20日に批准書を寄託し、2月19日より国内における権利条約の効力が生じた。権利条約を批准した国は4年に1度報告書を提出するが、初回は2年以内という規定があり、政府報告書を国連に提出する必要がある。報告書を受けた国連の障害者権利委員会はそれを審査し、条約に反する実態や法制度の不備があれば勧告される。ただ報告書の審査を待っている国が多く、提出してから数年待ちと見られている。我が国では、「第1回日本政府報告書」の原案を2015年9月に内閣府が示し、内閣府の障害者政策委員会が12月までに大筋を固め、1月にパブリックコメント実施した。この条約に包括される内容は、日本のこれからの社会福祉の転機になる課題が提起されており、その関連法律として、2016年4月より「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下「障害者差別解消法」という)が施行され、自治体及び民間事業者は「不当な差別的取り扱いの禁止」が義務付けられ、「合理的配慮の提供」は、自治体は義務付けられ、民間事業者はするように努力することとなっている。このことから、2016年度総会において、「障害者差別解消法」について講師お招きして講演を聞き今後の我々の日常業務の更なる検証が求められることとした。

一方、2014年7月「長期入院精神障害の地域移行を具体的方策に係わる検討会」で、「精神科病院の敷地内における障害者グループホームの特例」(精神科病棟転換型居住系)が、一定の条件付きで認める内容がまとめられ、都道府県等で特例の改定が行われれば、設置できることになった。当団体は、昨年度の県要望書に権利条約第19条に反する『精神科病棟転換型居住系』の導入の撤廃を要望した。神奈川県に於いては、特例の条例改正は、2016年度は実施しないことが決まった。その理由として、「病院敷地内における居住施設の設置については、障害者団体から反対意見が出されており、現時点で十分な理解が得られていないこと等」が挙げられていた。全国でも神奈川と同じ決定している都道府県もあり、条例改正が実施されないように「精神科病棟転換型居住系」の反対の声を上げ続ける必要を、強く感じている。それと、病院は治療の場で、生活は町の中ですることが当たり前という街作りを本気で我々取り組んで行かないと、精神科病床が世界の2割も占める我が国の病床削減や病棟転換の問題はなくならないと思う。

又、 [障害者総合支援法]の3年後の見直しが提示されているが、制度改革の波に揉まれている中で、我々の日常と関係ないように感じられるが、必ず利用者の生活や事業の現場に影響することなので、状況の把握をして行く必要がある。

神奈川県おいては、「緊急財政対策」が打ち出され、2014年度から、福祉関連の県単8事業の交付金が実施され、今年度も前年度同額の予算化されている。交付金は、市町村との協調事業なので、市町村への働きかけをして行く事が必要である。また、県精連に対する運営補助も、今年度は前年度と同額の139万円となり、補助対象事業費(運営員相談事業、基礎研修、体験発表)の1/3補助になっている。担当課が頑張って頂いた事に敬意を表すとともに、今後も団体として重要な役割を担う事務局体制を維持してゆきたいと思う。

昨年度、会員法人の事業運営に関する「リスクマネジメント研究事業」の中から団体保険の事業の拡大を図ると共に、運営に関わる法律的な相談をして頂くための弁護士委託契約をして、県精連が団体として「会員法人の健全な事業運営をバックアップ出来る体制作り」整えて行きたい。

最後に、たび重なる制度の改変により、我々はその動きに忙殺されてしまいがちではあるが、精神障がいの方々の生活のしづらさは、毎日変わりなく続いている。ことの本質を見失わず、目の前に生活している精神障がい者がその人らしく安心して生活出来るような活動の実践を、今後もねばりづよく継続していく所存である。

総会・理事会等の開催

  1. 特定非営利活動法人 神奈川県精神障害者地域生活支援団体連合会
    第13回総会 5月28日(土)横須賀市にて開催。
  • (ア)常任理事会を開催し、当会の運営及び各事業について協議検討し理事会への提言等を行なう。
    会員事業所の状況を把握し、補助金削減に伴う2017年に向けて県精連組織の在り方や、会の事業推進を図るための検討協議行い、理事会へ提言していく。
    「障害者総合支援法」施行など、国を始めとする行政や精神保健福祉の動向について、情報収集を行い会員への情報提供、理事会への提言なども行なう。
    開催日:原則として年6回奇数月第3火曜18時30分より開催

    (5/17 7/19 9/20 11/15 1/17 3/21 を予定)

  • (イ)理事会を開催し当会の運営及び各事業について協議し、会運営と事業の推進に努める。
    開催日:原則として年6回 偶数月第3木曜16時より開催

    (4/21 6/16 8/18 10/20 12/15 2/16 を予定)

  • (ウ)神奈川県精神障害者地域生活支援4団体代表者会の開催。(NPO)横浜市精連・川崎市精連・神奈川県精神保健福祉士協会との代表者会議を開催し、共同事業について協議し事業の推進を図る。また必要に応じて情報交換等を行い、各団体との連携を深める。(開催日:原則として年3回開催)
  • (エ)神奈川県障害福祉課との協議会を開催し、理事及び要望調査委員が出席し、県との意見情報交換、要望事項等の協議の場を持つ。

事業内容

  1. 特定非営利活動に係る事業
1)精神保健福祉の充実及び、促進に関する事業
ア.運営相談員派遣事業(県補助事業対象)
神奈川県から補助金を受け、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談事業所等、関係職員、県民等の運営する事業所の運営内容、運営事業、会計等のさまざまな相談に応じ以って的確かつ適正な事業展開を促進するため、運営相談員を事務局に配置し随時派遣する。運営に関する法律的相談に対して弁護士と委託契約する。
通年
神奈川県平塚市(事務局)
従事1名(事務局職員)
対象地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、関係職員、県民等
・支出見込額2,934,000円
イ.ブロック運営事業
ブロック定例会を実施し、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談事業所等、関係職員、県民等の連携と各地域に即した活動の推進を図るため意見、情報の交換及び、研修会を行う活動に対して運営助成を行う
通年
神奈川県域各地
従事16名(理事)
対象地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、関係職員、県民等
・支出見込額516,000円
ウ.部会運営事業
定例部会を実施し、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談事業所等、関係職員、県民等の連携と各事業に即した活動の推進を図るため意見、情報の交換及び、調査研究を行う活動に対して運営助成を行う
通年
神奈川県域各地
従事4名(部会長)
対象地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談支援事業所等 関係職員、県民等
・支出見込額240,000円
エ.施設賠償保険加入促進事業
損害保険会社と連携し施設賠償保険加入の取り扱いを行う
通年
神奈川県平塚市(事務局)
従事1名(事務局職員)
対象地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談支援事業所等
・支出見込額950,000円
オ.広報、啓発活動「県精連メール速急便」
「県精連メール速急便」発行及びホームページの活用を行い、時機に即した情報の共有を行う
通年
神奈川県内精神保健福祉関係施設他
従事1名(事務局職員)
対象会員、関係機関、県民
・支出見込額120,000円
2)精神保健福祉全般に関する研修事業
支出見込総額 3,100,000円
ア.研修事業(県補助事業対象)
研修委員会を設置し、地域生活支援の質の向上を図るため、精神保健福祉に関する講義とディスカッションを実施し、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談支援事業所等施設運営実務に関する諸問題について活動の言語化、記録化をもとに実践研究をおこなう。
年5回
神奈川県内精神保健福祉関係施設他
従事10名(研修委員)
対象会員、神奈川県内の施設職員、運営委員等、年間延べ200名
・支出見込額2,640,000円(内補助対象額850,000円)
イ.施設研修
精神保健福祉に関する理解を深めるため医療関連施設等見学。
随時
県精連会員関係施設等
従事10名(研修委員)
対象精神保健福祉に関心のある県民、学生等
・支出見込額10,000円
ウ.当事者体験発表会開催事業 (県補助事業対象)
県民、関係者、家族など、各方面に対する啓発活動の一環として、精神障がい当事者による、自己体験の発表会を開催する。
年1回
県精連会員関係施設等
従事10名(研修委員)
対象会員、関係職員、障がい当事者、精神保健福祉に関心のある県民、学生等200名
・支出見込額450,000円
3)精神障がい者が住みやすい社会の実現のための要望調査事業
要望調査委員会を設置し、精神保健福祉を取り巻く大きな流れを把握し、地域生活支援の質の向上を図るため、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談支援事業所等、施設運営実務に関する諸問題について検討調査する。これら実践研究及び調査をもとに対県要望活動を実施し、地域活動支援センター・グループホーム、就労支援事業所、相談支援事業所等の活動に反映させ、地域福祉増進の一翼を担う。
年12回
神奈川県内精神保健福祉関係施設他
従事10名 (要望調査委員) 
対象会員、神奈川県内の施設職員、運営委員等、年間延べ100名
・支出見込額350,000円
4)関係機関・団体との連携に関する事業
ア.地域交流研修事業
特定非営利活動法人横浜市精神障害者地域生活支援連合会、川崎市精神障害者地域生活推進連合会、神奈川県精神保健福祉士協会との交流を図り、共同事業の推進に努める。
年1回(2月)
神奈川県内関連施設
従事7名(実行委員)
対象精神障がい当事者、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談支援事業所、職員等150名
・支出見込額50,000円
イ.関係団体交流事業
協賛団体等関係機関団体との協力、交流、連携を図る。
年15回(通年)
神奈川県内関連施設
従事6名(常任理事)
対象精神障がい当事者、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所 利用者、職員、県民等 100名
・支出見込額20,000円
ウ.地域交流事業「県精連ふれあいソフトボール大会」開催事業
スポーツを通して、地域間の交流をはかる
年1回(10月)
平塚市民スポーツ広場
従事13名(実行委員)
対象精神障がい当事者、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所 利用者、職員、県民等 300名
・支出見込額150,000円
5)リスクマネジメント研究事業
  • 研究委員会を設置し、会員団体におけるリスクマネジメントの基本概念の共有、リスク管理の実践研究をおこなう。また、会員団体各々の組織体制に沿ったリスクマネジメント活動あり方を具体的に模索するための研修会実施する。
  • 団体保険(集団扱制度)の加入促進
    • 県精連が保険会社と契約して、会員法人単位で損害保険(自動車、火災、賠償保険等)加入し、団体加入により保険料の軽減と、集金業務を県精連が行い、その集金事務費を収入となる。
    • 加入関係なく、会員法人のリスク状況の各ブロック定例会において、リスクチェック票に基づき診断とアドバイスをしてもらう。
  • 社会保険労務士(社労士)と顧問契約
    • 県精連が社労士と顧問契約し、会員の労務管理等に関する相談が合った場合に、顧問社労士に紹介する。個々の事案により事務費用については、社労士に会員が支払う。
年9回
神奈川県内関連施設
従事6名(常任理事)
対象関係職員、会員、会員団体役員等
・支出見込額30,000円