理事会
平成30年度
活動計画

事業活動方針

我国は国連の「障害者権利条約(以下、権利条約という)」を2014年1月20日に批准書し、2月19日よりその効力が生じることになった。2016年4月からは「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下「障害者差別解消法」という)が施行され、自治体及び民間事業者は「不当な差別的取り扱いの禁止」が義務付けられた。がしかし2016年7月26日、相模原市にある「県津久井やまゆり園」において、元職員による19名が殺害され負傷者26名を出す残虐で悲惨な事件が起きてしまったことは痛恨の極みである。

神奈川県は、2016年9月に「津久井やまゆり園」を現在地に全面的建替えの再建計画として方向性を示したが、2017年1月の団体ヒアリング等において、大規模施設の建設に対する異議の意見が多く出されたことで、県障害者施策審議会で部会を設置し、「津久井やまゆり園」の再生について検討協議された。そして2017年8月には「意思決定支援」「安心して安全に生活できる場の確保」「地域生活移行の促進」を柱とする部会検討結果報告書が、同月17日の県障害者施策審議会において承認され、その内容を踏まえて、「津久井やまゆり園再生基本構想」に取りまとめられた。2018年度県予算編成はそれを色濃く反映してれていると感ぜられる。「やまゆり」という一つの入所施設の問題でなく、障がい当事者がどこで誰とどんな生活をしたいかを、権利条約の「私たちのことは私たちで抜きで決めないで」をどう実践するか。この残忍な事件を風化させないで、安心して地域生活を送れるような環境づくりを推進していかなければならないからである

そのような中、県単独補助である福祉関連8事業へ交付金については、2019年度の見直しが行われるとの話もあるが、市町村との協調事業である事から、引き続き市町村への各事業の必要性を働きかけして行きたい。特に県精連に対する運営補助について今年度は、前年度と同額の139万円となった。団体補助カットの方向性がある中、県精連の活動へのご理解を頂けた事並びに、県各位のご尽力にたいして、あらためて敬意を表したい。今後も団体として重要な役割を担う事務局体制を引きつづき維持すると共に、研修事業の充実とあり方について協議頂きたい。

一方、国においては2018年度医療・介護・障がいの報酬改正が実施されることになり、今後の高齢化と少子化に向けて持続可能な制度設計を強く打ち出してきた。グループホーム「日中サービス支援型」、「自立生活支援」の報酬を制定。長期入院している精神障がい者の地域移行を進めるためのグループホームでの受入れに関わる加算を創設、計画相談支援等における質の高い事業所の評価そして、就労系での「就労定着支援」や就労継続B型の工賃による報酬単価の設定などである。特に「工賃による報酬単価の設定」は、精神障がいの方々が利用している多くの事業所にとっては大変大きな問題と捉えている。通所率が5割という障がい特性があり、短時間の作業しか参加できない状況の中で、平均工賃の母数にカウントされると「工賃」が下がっていくことになる。作業に継続して参加する利用者が優先され、地域作業所時代から大事に培ってきた「柔軟な参加への努力」、日々の揺らぎを支援するために相談や、アウトリーチ支援等、かなりの時間をこれら生活支援に費やしているのが現場の実情であり、精神障がいの方々にとっての重要な支援がないがしろになってゆくのではないかとの懸念、危惧は拭い去れない。3年後の報酬改正に向けて、この生活支援を言語化することが我々の課題と思われる。

また、県精連は、組織体制の見直しを図ってより5年間の経過をみた。自立支援法から総合支援法への流れのなかで、会員法人の事業運営の在り方の変化を実践の中で感じ取りつつ昨年度より、組織体制の見直しの評価と課題を整理してきた。よって今年度は、組織体制の在り方について会員の意見を聞き、検討し、取りまとめていく事を重点目標としたい。

最後に、たび重なる制度の改変により、我々はその動きに忙殺されてしまいがちではあるが、精神障がいの方々の生活のしづらさは、毎日変わりなく続いている。ことの本質を見失わず、地域の精神障がいの方々がその人らしく安心して生活出来るような活動の実践を、今後もねばりづよく継続していく所存である。

総会・理事会等の開催

  1. 特定非営利活動法人 神奈川県精神障害者地域生活支援団体連合会
    第15回総会 5月26日(土)伊勢原市にて開催。
  • (ア)常任理事会を開催し、当会の運営及び各事業について協議検討し理事会への提言等を行なう。
    会員事業所の状況を把握し、補助金削減に伴う2019年に向けて県精連組織の在り方や、会の事業推進を図るための検討協議行い、理事会へ提言していく。
    「障害者総合支援法」施行など、国を始めとする行政や精神保健福祉の動向について、情報収集を行い会員への情報提供、理事会への提言なども行なう。
    開催日:原則として年6回奇数月第3火曜18時30分より開催

    (5/15 7/17 9/18 11/20 1/15 3/19 を予定)

  • (イ)理事会を開催し当会の運営及び各事業について協議し、会運営と事業の推進に努める。
    開催日:原則として年6回 偶数月第3木曜17時より開催

    (4/19 6/21 8/23 10/18 12/20 2/21 を予定)

  • (ウ)神奈川県精神障害者地域生活支援4団体代表者会の開催。(NPO)横浜市精連・川崎市精連・神奈川県精神保健福祉士協会との代表者会議を開催し、共同事業について協議し事業の推進を図る。また必要に応じて情報交換等を行い、各団体との連携を深める。
    開催日:原則として年3回開催
  • (エ)神奈川県障害福祉課との協議会を開催し、理事及び要望調査委員が出席し、県との意見情報交換、要望事項等の協議の場を持つ。

事業内容

  1. 特定非営利活動に係る事業
1)精神保健福祉の充実及び、促進に関する事業
ア.運営相談員派遣事業(県補助事業対象)
神奈川県から補助金を受け、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談事業所等、関係職員、県民等の運営する事業所の運営内容、運営事業、会計等のさまざまな相談に応じ以って的確かつ適正な事業展開を促進するため、運営相談員を事務局に配置し随時派遣する。運営に関する法律的相談に対して弁護士と委託契約する。
通年
神奈川県平塚市(事務局)
従事1名(事務局職員)
対象地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、関係職員、県民等
・支出見込額2,994,000円
イ.ブロック運営事業
ブロック定例会を実施し、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談事業所等、関係職員、県民等の連携と各地域に即した活動の推進を図るため意見、情報の交換及び、研修会を行う活動に対して運営助成を行う
通年
神奈川県域各地
従事16名(理事)
対象地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、関係職員、県民等
・支出見込額516,000円
ウ.部会運営事業
定例部会を実施し、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談事業所等、関係職員、県民等の連携と各事業に即した活動の推進を図るため意見、情報の交換及び、調査研究を行う活動に対して運営助成を行う
通年
神奈川県域各地
従事4名(部会長)
対象地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談支援事業所等 関係職員、県民等
・支出見込額240,000円
エ.施設賠償保険加入促進事業
損害保険会社と連携し施設賠償保険加入の取り扱いを行う
通年
神奈川県平塚市(事務局)
従事1名(事務局職員)
対象地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談支援事業所等
・支出見込額970,000円
オ.広報、啓発活動「県精連メール速急便」
「県精連メール速急便」発行及びホームページの活用を行い、時機に即した情報の共有を行う
通年
神奈川県内精神保健福祉関係施設他
従事1名(事務局職員)
対象会員、関係機関、県民
・支出見込額60,000円

2)精神保健福祉全般に関する研修事業
支出見込総額 3,000,000円(内補助対象額1,200,000円)

ア.研修事業(県補助事業対象)
研修委員会を設置し、地域生活支援の質の向上を図るため、精神保健福祉に関する講義とディスカッションを実施し、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談支援事業所等施設運営実務に関する諸問題について活動の言語化、記録化をもとに実践研究をおこなう。各部会・ブロック会での研修を共催する。
随時
神奈川県内精神保健福祉関係施設他
従事10名(研修委員)
対象会員、神奈川県内の施設職員、運営委員等、年間延べ200名
・支出見込額2,550,000円
イ.当事者体験発表会開催事業 (県補助事業対象)
県民、関係者、家族など、各方面に対する啓発活動の一環として、精神障がい当事者による、自己体験の発表会を開催する。
年1回
県精連会員関係施設等
従事10名(研修委員)
対象会員、関係職員、障がい当事者、精神保健福祉に関心のある県民、学生等200名
・支出見込額450,000円
3)精神障がい者が住みやすい社会の実現のための要望調査事業
要望調査委員会を設置し、精神保健福祉を取り巻く大きな流れを把握し、地域生活支援の質の向上を図るため、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談支援事業所等、施設運営実務に関する諸問題について検討調査する。これら実践研究及び調査をもとに対県要望活動を実施し、地域活動支援センター・グループホーム、就労支援事業所、相談支援事業所等の活動に反映させ、地域福祉増進の一翼を担う。
年12回
神奈川県内精神保健福祉関係施設他
従事10名 (要望調査委員) 
対象会員、神奈川県内の施設職員、運営委員等、年間延べ100名
・支出見込額350,000円
4)関係機関・団体との連携に関する事業
ア.地域交流研修事業
特定非営利活動法人横浜市精神障害者地域生活支援連合会、川崎市精神障害者地域生活推進連合会、神奈川県精神保健福祉士協会との交流を図り、共同事業の推進に努める。
年1回(2月)
神奈川県内関連施設
従事7名(実行委員)
対象精神障がい当事者、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所、相談支援事業所、職員等150名
・支出見込額50,000円
イ.関係団体交流事業
協賛団体等関係機関団体との協力、交流、連携を図る。
年15回(通年)
神奈川県内関連施設
従事6名(常任理事)
対象精神障がい当事者、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所 利用者、職員、県民等 100名
・支出見込額20,000円
ウ.地域交流事業「県精連ふれあいソフトボール大会」開催事業
スポーツを通して、地域間の交流をはかる
年1回(10月)
平塚市民スポーツ広場
従事13名(実行委員)
対象精神障がい当事者、地域活動支援センター、グループホーム、就労支援事業所 利用者、職員、県民等 300名
・支出見込額150,000円
5)組織検討事業
組織検討委員会を設置し、当会の事業と組織の在り方を研究し、理事会に対して提言を行う。
年9回
神奈川県内関連施設
従事6名(常任理事)
対象関係職員、会員、会員団体役員等
・支出見込額30,000円